エネループとエネループプロとAmazon高容量充電池の違い - PCと解

エネループ、充電式エボルタ、Amazonベーシック充電池

エネループとエネループプロとAmazonベーシック高容量充電池の違いを、実際に調べてみました。 特に、充電池の容量と自然放電特性の違いを知りたかったので、 電力量計を用いて、それぞれの充電池の各時点における容量を測定し、比較しました。

実験の前に、商品説明からわかるそれぞれの違いは、 エネループは自然放電が少なく繰り返し耐性に優れる充電池、 エネループプロは容量の大きな充電池、 Amazonベーシック高容量充電池は容量が大きい割に価格が安い充電池。 電池によって得手不得手があるので、 高容量タイプの充電池が、すべてにおいて勝っているわけではありません。

メーカーが公表している値は、

単3形 電池容量[mAh] 繰り返し回数
エネループ(BK-3MCC) 1900 約2100
エネループプロ(BK-3HCD) 2500 約500
Amazon高容量充電池 2400 約500
単4形 電池容量[mAh] 繰り返し回数
エネループ(BK-4MCC) 750 約2100
エネループプロ(BK-4HCD) 930 約500
Amazon高容量充電池 800 約500

となっており、

  • エネループプロの電池容量は、エネループの約1.3倍
  • エネループの繰り返し回数は、高容量充電池の4倍以上

らしいです。 それよりも、単3形は単4形より2.5倍以上も電池容量が大きいんですね。

でも、カタログスペックと実測値が異なるのはよくあることですし、 書かれていない情報こそ知りたいのです。 特に、個人的に気になっていたのは、自然放電による容量の低下。 充電後長期保管した場合に、充電直後の容量をどれだけ保っていられるのか。 それを調べるために、エネループ、エネループプロ、Amazon高容量充電池、 それぞれ単3形4本セットの新品を購入して実験しました。

重量の測定

実際にエネループとエネループプロを使ってみると、最初に電気特性以外の違いが気になります。 具体的には、電池の重量高容量タイプの充電池は重いのです。

電池4本をケースに入れた状態の重量を電子天秤で測定し、 ケースの重量を差し引いたうえで、1本あたりの重量に換算しました。 以下、測定結果です。

重量[g]
エネループ(BK-3MCC) 26.3
エネループプロ(BK-3HCD) 30.3
Amazon高容量充電池 29.8

重量の違いは、持った瞬間にわかるレベルです。 1本では4gの差でも、4本だと16gの差になります。 電池ケースに4本入れた状態だと、目隠しされてもわかります。 マウス等に使用すると、操作感は確実に変わると思います。

それだけ、高容量タイプの充電池は電池内部に機能性材料を詰め込んだ結果ともいえます。

容量の測定

エネループに限らず、充電池は充電された状態で出荷されているので、 条件を揃えるため、一旦電池を放電させた後、BQ-CC85を用いて充電しました。

電力量計

充電完了後24時間以内に、COOWOOの電力量計を用いて新品の電池の容量を測定しました。 負荷は1Ωのセメント抵抗です。 比較的小さい抵抗で大きな電流を流すので、 接触抵抗が問題にならないよう、はんだ付けしてあります。

電力量計の表示

この電力量計は、電圧が初期の半分になると時間のカウントをストップするので、 そこからさらに10分経過した時点で放電完了としました。 その状態で、電圧は0.1Vを下回ります。

それぞれ4本の測定結果の平均値を以下に示します。 時間は、電圧が初期の半分(約0.6V)になるまでの時間です。

積算電流[mAh] 積算電力[mWh] 時間[分]
エネループ(BK-3MCC) 1983(104.3%) 2125 104
エネループプロ(BK-3HCD) 2543(101.7%) 2793 134
Amazon高容量充電池 2350(97.9%) 2430 128

積算電流のカッコ内は、カタログ値に対する実測値の達成率です。

大きな電流を流すと、電池の内部抵抗の影響が強くなるので、 本実験は電池にとって不利な条件です。 それでも、エネループはメーカーが公表している値を上回る結果が出ました。 これに対し、Amazonベーシック高容量充電池は、充電直後の状態でも公表値に達しませんでした。

エネループ同士で比べると、エネループプロの積算電流は、エネループの128%であり、 メーカーのうたい文句どおりの結果が出ています。

自然放電の測定

一般的に、二次電池(充電池)の自己放電は、一次電池に比べて大きいです。 従って、充電池は、充電してから使うのが一般的でした。 そこへエネループは、「買ってすぐ使える充電池」という触れ込みで登場しました。 それくらい、エネループの自己放電の小ささは革命的だったのです。

気になるのは、エネループプロでも自己放電は小さいままなのか。 商品説明を見る限り、エネループプロのほうが自己放電が大きいように感じられます。

エネループ 自然放電の抑制で1年後90%の残存容量維持
エネループプロ 自然放電が少ないので充電しておけば1年後でもすぐに使える

残容量を具体的に示しているのは、標準タイプのエネループだけです。 メーカーは都合の悪いことは書かないので、実験して調べます。

充電完了後、一定時間が経過した電池の残容量を、前述の方法で測定しました。 なお、本実験は初夏に開始したので、電池は平均気温25℃の室内に放置されたもの考えてください。 充電直後と1週間後のみサンプル数は4、2週間後以降のサンプル数は2です。

積算電流[mAh]
直後 エネループ 1983(100%)
エネループプロ 2543(100%)
Amazon高容量充電池 2350(100%)
1週間後 エネループ 1875(94.6%)
エネループプロ 2403(94.5%)
Amazon高容量充電池 2252(95.9%)
2週間後 エネループ 1870(94.3%)
エネループプロ 2375(93.4%)
Amazon高容量充電池 2205(93.8%)
3週間後 エネループ 1835(92.6%)
エネループプロ 2330(91.6%)
Amazon高容量充電池 2145(91.3%)

積算電流のカッコ内は、充電直後に対する残容量の比率です。

本実験は、抵抗を使って放電しているので、電流と電圧は比例します。 つまり、積算電流の差は、積算電力では2乗になって広がるだけともいえますが、 測定精度の問題もあり、必ずしもそういうわけではなかったので、 実測した積算電力もグラフにまとめます。

積算電力[mWh]
直後 エネループ 2125(100%)
エネループプロ 2792(100%)
Amazon高容量充電池 2430(100%)
1週間後 エネループ 1970(92.7%)
エネループプロ 2550(91.3%)
Amazon高容量充電池 2262(93.1%)
2週間後 エネループ 1925(90.6%)
エネループプロ 2465(88.3%)
Amazon高容量充電池 2185(89.9%)
3週間後 エネループ 1885(88.7%)
エネループプロ 2370(84.9%)
Amazon高容量充電池 2145(88.3%)

同様に、積算電力のカッコ内は、充電直後に対する残容量の比率です。 電気製品を駆動する能力としては、積算電力で比較したほうが妥当です。

事前の予想に反して、エネループプロでも自然放電は少ないことがわかりました。 Amazonベーシック高容量充電池の自然放電も少ないですが、 エネループプロと比べると、容量の差がカタログ値以上にあるのが目立ちます。

自然放電は、充電直後から1週間後にかけてが最も大きく、 時間の経過と共に落ち着いてくる傾向があります。

残容量の維持率で見ると、エネループのほうがわずかに良い結果となっていて、 エネループは、エネループプロよりも自然放電が少ないのは確かですが、 微々たる差です。 自然放電によって、エネループとエネループプロの残容量が逆転するとは考えにくいです。 もしあったとしても、何年も先の話になるので、現実的ではありません。

ただし、高容量タイプの充電池の充放電回数は、エネループの1/4以下で、耐久性に劣ります。 繰り返し使用するほど、当初の性能を発揮できなくなるのは、すべての充電池にいえることですが、 エネループは変化が少なく、高容量タイプの充電池は変化が大きいと考えられます。

また気になった点として、高容量タイプの充電池は、容量のばらつきが大きいです。 実験中、エネループの容量のばらつきは、およそ±1%に収まっていたのに対し、 エネループプロとAmazonベーシック高容量充電池の容量のばらつきは、±4%ほどありました。

もちろん、生産ロットによる違いもあるので、少数のサンプルで断定するものではありませんが、 高容量タイプの充電池は、限界まで無理して作っているとは感じました。

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